高断熱のおかげで、夏も冬も、ほとんど冷暖房をつけなくても快適に過ごせ、曇りや雨の日は普通に電力を購入するが、晴れの日は電力会社に電力を売る。
電気代の収支は、年間で差し引き数万円の黒字。そんな夢の様な暮らしができるのが「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」です。
■「省エネ」と「創エネ」で「1次エネルギー消費量」をゼロに■
ZEHは「ゼロ・エネルギー・ハウス」の頭文字をとったもので、「ゼッチ」と読みます。
ZEHとは、住宅の高断熱化と高効率設備により大幅な省エネを実現するとともに、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間の「1時消費エネルギー」を正味(ネット)で、概ねゼロ以下にする住宅です。1年間の1次エネルギー消費量を「正味(ネット)でゼロ」にすることから、ZEHは厳密には「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」と呼ばれます。
ゼロ・エネルギーと言っても、住宅で使うエネルギーをゼロにする事は出来ませんから、エネルギー消費量を、再生エネで発電したエネルギーで相殺し、正味でゼロにする仕組みです。
■「1次エネルギー消費量」とは■
「ZEH仕様」の住宅であるかどうかは、「1次エネルギー消費量」を再生エネでゼロに出来るかどうかが、1つの要件です。日常生活で消費するエネルギーが全て「1次エネルギー消費量」となるわけではありません。
1次エネルギー消費量の対象となるのは、冷暖房・換気・給湯・照明です。テレビや洗濯機、冷蔵庫などの家電製品の電気は対象としません。
このことは、新築・既築住宅をZEH化する時に大切なポイントです。ZEH化する時には、国や地方自治体の補助金を受けられますから、知っておいて損はないでしょう。
また、「1年間でゼロ」というのにも理由があります。毎日がゼロエネルギーになるわけではありません。季節によって冷暖房の電力消費量は違います。太陽光発電は、日照によって発電量が異なり一定ではありません。
太陽光発電で発電量が消費量を上回るのは、地域にもよりますが、概ね春や秋の晴天日。その余剰分を夏冬や夜間にならして考えます。そういったことから、「おしなべて1年間」で計算するのです。
ZEHは、使うエネルギーを出来るだけ減らし、使ったエネルギーと同量以上のエネルギーを生み出すことで成り立ちます。省エネと創エネを組合わせて、1次エネルギー消費量を正味でゼロ以下にしようというのが「ZEH」です。
■ZEHの定義■
経済産業省は「ZEHロードマップ検討委員会とりまとめ」(2015年12月)において、ZEHを次のように定義しています。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・・・外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の1次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅。
Nearly ZEH(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・・・ZEHを見据えた先進住宅として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の1次エネルギー消費量をゼロに近づけた住宅。
■ZEH規準■
ZEHに該当するかどうか具体的な基準についても、「ZEHロードマップ検討委員会とりまとめ」で規定しています。簡単に言うと次のようなものです。
まず、住宅の気密性や断熱性を高め、冷暖房・換気・給湯・照明設備を高効率にすることで、エネルギー消費量を通常の省エネ基準より20%以上削減することが必要です。
その上で、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電設備を導入し、再生エネを加えて、正味で100%以上の省エネを達成したものを「ZEH」、正味で75%以上100%未満の省エネを達成したものを「Nearly ZEH」とします。
■創蓄連携システム■
創蓄連携システムは、太陽光発電と蓄電池をうまく連携させ、より効率よく電気を活用できます。
太陽光発電システムがあると、昼間は太陽光で発電した電気が利用可能。太陽光の電気を使用するので、家計にも環境にも貢献出来ます。
蓄電システムがあると、蓄えた電気を普段使う電気として利用。電気代の節約に、ピーク電力の抑制に、蓄電池の電気を活用できます。
さらに、太陽光発電システムと蓄電システムが連携していると、太陽光が発電しない雨の日や夜でも、蓄電池に蓄えた電気で不足分を補って、買う電気を減らせます。